テレビゲーム(ビデオゲーム)は、長く非生産的な遊びとして扱われてきましたが、eスポーツの台頭によって、ゲームを職業とする人が増えてきました。
ゲームが頭脳を使ったスポーツとみなされる時代がすでに到来していて、「eスポーツをオリンピックの正式種目に」とおす声すら聞こえてきます。
しかし、eスポーツは新興競技ということもあり、「ゲームとなにが違うの?」「どんなジャンルのゲームで戦うの?」といった疑問をおもちの方も多いはずです。
そこで今回は、eスポーツの概要を詳しくまとめて、とくに注目すべきジャンルや大会賞金などをご紹介します。
eスポーツとはなにか
eスポーツは「Electronic Sports」の略です。
スポーツというと体を動かすものというイメージがありますが、eスポーツではテレビゲーム(ビデオゲーム)を使って勝敗を決めます。
ほんの少し前までは遊びに領域でしかなかったゲームが、今やスポーツとして認められているのです。
eスポーツという名前が付きますが、使われるゲームのジャンルはスポーツに限りません。
ゲーマーの当人同士が楽しむだけでなく、観客が一体となって盛り上がれることも、eスポーツの魅力です。
eスポーツの種目については、このあとの項目で詳しく解説することにしましょう。
eスポーツとゲームの違い
ここで気になるのは、eスポーツとして認められる種目と単なるゲームの境界線ではないでしょうか。
eスポーツ振興の調査・研究やプロライセンスの発行といった取り組みを行っているJeSU(日本eスポーツ連合)では、競技タイトルの公認条件を以下のように定めています。
1.1 ゲーム内容に競技性が含まれること(競技性)。
1.2 ゲームとして3ヶ月以上の可運営・販売実績があること(稼働実績)。
1.3 今後もeスポーツとして大会を運営する予定があること(大会の継続)。
1.4 eスポーツとしての大会の興行性が認められること(興行性)。
出典:JeSU公認タイトル規約
つまり、すべてのゲームがスポーツとして認められているわけではありません。
JeSUによって公認を受けているゲームは、2021年8月時点で、以下の15タイトルです。
画像引用:Japan esports union公式サイト
テレビゲームやアーケードゲーム、スマホゲームで1度はプレイしたことがあるというタイトルが含まれているのではないでしょうか。
なお、これはあくまでもJeSUが認めたタイトルであり、海外の団体がeスポーツとして認めているその他のタイトルがあることも知っておきましょう。
eスポーツはスポーツなのか?
市場規模が大きく、ライセンスを発行する団体があるという既成事実をもってしても、本当にゲームをスポーツとして認めるべきなのか、疑問に感じる人もいるかもしれません。
しかし、ゲームには「仲間と力を合わせる」「対戦相手と切磋琢磨する」「ルールを遵守する」といったスポーツとの共通点がたくさんあります。
野球やサッカーなどのスポーツでも、海外では試合のことを「ゲーム」といいますし、出場することを「プレイする」ともいいます。
これはゲームとの共通点でもあり、もとからスポーツとゲームの親和性は高かったと考えれば、一部のゲームがスポーツとして認められるのも自然な流れといえるでしょう。
eスポーツとして認められている種目一覧
ここからは、eスポーツとして認められている種目をご紹介します。
まずは一覧にして表にまとめますが、現時点では以下のようなジャンルで大会などが開かれていますよ。
ジャンル | 主なタイトル |
---|---|
FPS(ファーストパーソンシューティング) | カウンターストライク |
TPS(サードパーソンシューティング) | 荒野行動 |
MOBA(マルチプレイオンラインバトルアリーナ) | League of Legends |
RTS(リアルタイムストラテジー) | Age of Empires |
DCG(トレーディングカードゲーム) | シャドウバース |
スポーツ | ウイニングイレブン |
格闘 | ストリートファイター |
レーシング | Formula One |
パズル | ぷよぷよ |
ここからは、それぞれのジャンルの特徴を簡単にご紹介します。
FPS
画像引用:カウンターストライク公式サイト
FPS(ファーストパーソンシューティング)は、シューティングゲームの一種です。
プレイヤー目線でゲームが進むため、実際にその場にいるかのような臨場感を味わえます。
フィールド上を自分自身で好きなように移動して、敵と戦ったり、仲間と協力したりしながらミッションクリアを目指すゲームです。
有名なタイトルとしては「カウンターストライク」シリーズを挙げられます。
これは特殊部隊とテロリストとの戦いをテーマにした作品で、2000年発売という歴史の長いシリーズです。
「ESL Pro League杯」などの世界的な大会も開かれていますよ。
TPS
画像引用:荒野行動公式サイト
TPS(サードパーソンシューティング)も、シューティングゲームの一種です。
前述したFPSとの違いは視点で、キャラクターを俯瞰で見ながらゲームを進めることが特徴です。
与えられたミッションをフィールド上でクリアするというゲーム性そのものは、FPSと変わりません。
TPSの主なタイトルとしてご紹介できるのは「荒野行動」、それからニンテンドースイッチの売り上げをけん引する話題作にもなった「スプラトゥーン」です。
とくに荒野行動はコラボイベントを開催することも多く、大会参加への興味をもたない層にも多くのファンを抱えています。
MOBA
画像引用:League of Legends公式サイト
MOBA(マルチプレイオンラインバトル)は、複数人の仲間と協力しながらミッションをクリアするタイプのゲームです。
どちらかといえば格闘的な要素よりも戦略的な要素が濃いジャンルで、チームプレイを優先することが求められます。
多くの競技人口をもつタイトルとしては、「League of Legends」を挙げられます。
過去に行われた世界大会では、優勝者が賞金約3億3千万円を独り占めしたことでも話題になりました。
高校生向けの大会「全国高校eスポーツ選手権」でも使われているタイトルのひとつです。
RTS
画像引用:リアルタイムストラテジー公式サイト
RTS(リアルタイムストラテジー)は、プレイする時間や内容に合わせて、ゲーム中の時間もリアルタイムに進行していくゲームです。
状況に応じた戦略を立てながら敵を攻略することを目的とした、シミュレーションゲームの一種と考えるといいでしょう。
RTSというジャンルを開拓したといっても過言ではない作品が「Age pf Empires」シリーズです。
この作品はゲームの進行に合わせて時代が変化することが特徴で、発売元のマイクロソフト社は、アジア大会のような規模の大きなイベントを開催しています。
DCG
画像引用:シャドウバース公式サイト
スマホゲームの台頭によって市場規模を拡大させたジャンルがDCG(デジタルカードゲーム)です。
プレイヤーはゲーム上で入手したカードを使ってデッキを組み、カードゲームで対戦を行います。
TCG、CCGなど呼び方が変わることがありますが、ジャンルとしてはすべて同じです。
スポーツ化されているDCGのなかで、とくに有名なタイトルが「シャドウバース」です。
Jリーグの横浜F・マリノスによるeスポーツチームもシャドウバースのプロゲーマーが6名在籍しており、団体戦で全国大会への出場もはたしています。
スポーツ
画像引用:KONAMI公式サイト
サッカー、野球、バスケなどのスポーツゲームで対戦するジャンルです。
実在するチームや選手を操作しながら相手チームと対戦し、勝利を目指します。
実際の試合を見ているような感覚に浸れるため、プレイヤーのみならず、観客も盛り上がりやすいジャンルといえるでしょう。
日本発の有名タイトルが多く、なかでも世界中にファンを抱える「ウイニングイレブン」は象徴的なタイトルです。
2021年9月に販売が予定されている新作は、タイトルを「e Football」へ改めることが決まっており、eスポーツをより強く意識した作品にシフトする可能性もあります。
格闘
画像引用:ストリートファイター公式サイト
プレイヤー同士がキャラクターを操作して、1対1でバトルするという形式のゲームです。
ゲームセンターの対戦プレイでもおなじみですね。
eスポーツでは個人戦だけでなく、数人のメンバーをそろえて対決する団体戦でも対戦が行われています。
世界的に知られているタイトルといえば「ストリートファイター」でしょう。
こちらも国際大会が頻繁に開催されており、日本人プレイヤーも健闘しています。
そのほかには「バーチャファイター」や「大乱闘スマッシュブラザーズ」といったゲームも、格闘のカテゴリーに含まれるゲームです。
レーシング
画像引用:FORMULA 1 YouTubeチャンネル
クルマをはじめとする乗り物を操作して、順位やタイムを競うという内容です。
こちらもアーケードゲームではおなじみのジャンルで、eスポーツ用に規模を拡大させたものと考えるといいでしょう。
オートバイや自転車を操作するといった内容のゲームもあります。
大規模な大会が行われているのは「Formula Oneシリーズ」です。
F1の公式ライセンスを取得したゲームであるため、実在するスーパーカーを操作できるという爽快感が話題を集めています。
2020年に行われた大会には、なんと現役ドライバーまで参戦しました。
パズル
画像引用:ぷよぷよ公式サイト
少し意外なジャンル化もしれませんが、パズルゲームも、eスポーツの種目として取り扱われています。
感覚でプレイするというイメージが強いパズルゲームですが、実際は綿密な計算をもとにアクションを選択しているため、もっとも頭脳を使うeスポーツといえるかもしれません。
パズルゲームのなかで頻繁にeスポーツとして用いられているのは、日本人には知らない人がいないというほどの知名度を誇る「ぷよぷよ」です。
Eスポーツ向けのタイトルも発売されるなど、早くからスポーツとしての伸びしろに期待されていました。