日本では、IR(統合型リゾート)施設の計画が進められており、インバウンドを集めるプロジェクトとして注目されています。
カジノ誘致の候補地が次々と名乗りを上げ、カジノ誘致計画が進んでいた中、新型コロナウイルス騒動が起きてしまいました。
日本のみならず、世界各地で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響により、カジノ誘致計画は今どうなっているのでしょうか?
今回は、日本のカジノ誘致計画の現状について解説します。
カジノ誘致の候補地とは?
現在、日本でIR誘致の候補地となっているのは、以下の7都市です。
- 大阪(夢洲)
- 神奈川(横浜)
- 長崎(ハウステンボス)
- 東京(お台場)
- 愛知(名古屋)
- 愛知(常滑)
- 和歌山(マリーナシティ)
中でも有力候補地といわれているのが、大阪の夢洲と、神奈川の横浜です。
この2つの候補地では、カジノ誘致の計画がどのように進められていたのかを見てみましょう。
大阪(夢洲)
大阪はIRの誘致候補地として名乗りを上げ、同時に万博の開催にも力を注いできました。
そして、念願かなって、2025年の万博開催地に選出されました。
その勢いもあり、IR誘致の最有力候補と考えられていたのです。
大阪の具体的な誘致候補地は、「夢洲(ゆめしま)」です。
夢洲は大阪湾にある人工島ですが、車でしか行くことができず、アクセスが悪い土地でした。
もともとオリンピックの競技場や選手村として使うために開発されましたが、オリンピックの誘致に失敗し、放置されていた「大阪の負の遺産」だったのです。
そこに、夢洲をIRの建設地として活用する案が浮上し、大阪のIR誘致計画は、盛り上がりを見せていました。
神奈川(横浜)
横浜は、山下ふ頭を候補地として、IRの開業を目指すことを表明しています。
山下ふ頭は、高度経済成長期には横浜港における物流の拠点でしたが、次第に観光や商業がメインになっていきました。
そこにカジノを誘致して、インバウンドをさらに呼び込んでいく計画でした。
しかし、横浜には、地元住民や企業からの反対が根強いという問題もあります。
横浜といえば山下ふ頭といわれるように、横浜のシンボル的存在であり、地元住民から愛されている場所です。
カジノが誘致されることで、治安の悪化やギャンブル依存症の蔓延などが懸念されています。
そのため、山下ふ頭へのカジノ誘致に反対する住民や、地元の企業団体も多いのです。
地元住民や企業の根強い反発をどう対処するかが、横浜へのIR誘致の重要なカギといえるでしょう。
その他の候補地
大阪、横浜以外の有力候補地は、長崎県佐世保にあるハウステンボスです。
日本を訪れる外国人観光客の多くは中国人や韓国人ですが、長崎は中国と韓国のどちらからもアクセスがいい立地です。
そのため、カジノ誘致の有力候補地となっています。
ハウステンボスは一時期経営不振に陥りましたが、新しいアトラクションやイベントが人気を集め、現在は黒字経営を続けています。
長崎へのIR誘致計画は、県と市、ハウステンボスが共同で進めています。
和歌山は、2004年からカジノ誘致に取り組んでいる、積極的な自治体のひとつです。
大阪と和歌山という近い場所に、2つのIRが存在することによる相乗効果を狙った方針をとっています。
愛知では、常滑市の中部国際空港(セントレア)と、名古屋市中心部の名古屋港周辺の2か所が候補地になっています。
東京のお台場は当初は誘致に積極的でしたが、知事の交代が続き、会場候補地が売却されるなど、計画が白紙になっていました。
しかし、臨海副都心の開発計画の中で、IR誘致計画が復活の兆しを見せています。
大阪のIR事業者は新型コロナで経営危機に
大阪の夢洲でIR事業者に公募したのは、米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの合同チームのみでした。
そのため、大阪への誘致が決定した場合、MGM・オリックスがIRを運営することが事実上決まっていました。
ところが、MGMは新型コロナウイルスの感染拡大の影響により経営危機に陥り、大阪のIR誘致計画から離脱する可能性が出てきたのです。
アメリカでの感染拡大により、MGMは、アメリカ国内のカジノをすべて封鎖しました。
経営危機に陥ったMGMは、日本でのIR誘致にまで手が回らない状態です。
このような状況の中、大阪の吉村知事は、2025年の万博実施前のカジノ開業を事実上断念したと明らかにしました。