老後2,000万円問題が話題になって以降、投資の重要性を痛感する日本人が増えてきました。
2020年は新型コロナウイルスの蔓延により株価が乱高下していますが、8月時点の日経平均株価は22,500円台に回復するなど、この地合いでも強さを維持しています。
そんな中、オンラインカジノがFXや株と同じように投資として成り立つのかどうか、気になった方もいらっしゃるでしょう。
一般的なギャンブルを大きく上回る還元率のオンラインカジノは、投資の一環として利用できるようにも感じます。
オンラインカジノは投資の一つになり得るのか、記事の中で詳しく分析していきます。
オンラインカジノとFX・株式投資の違い
まずはオンラインカジノとFX・株式投資との間にはどのような違いがあるのかを整理しましょう。
ポイントとなるのは5点です。
お金が増える仕組みから増やすための方法、そしてチャンスの時期まで異なりますので、自分に合ったお金の増やし方を見つけることも重要です。
損得を共有するオンラインカジノ、勝者だけが生まれる可能性のあるFXと株式投資
オンラインカジノの特性として、すべてのプレイヤーと損得を共有するというシステムがあることを挙げられます。
オンラインカジノには還元率があり、平均的な数値は97%前後です。この場合、残った3%を胴元であるカジノサイトが持っていくことがあらかじめ決まっているのです。
たとえば還元率90%のゲームで、2人のプレイヤーがそれぞれ10,000円を使って遊んだとしましょう。
この場合は2人合わせて20,000円をカジノサイトに支払うことになり、カジノサイトの儲けは20,000円の10%で2,000円です。
残った18,000円は、プレイヤー同士で分け合うことになります。
この18,000円の行方がどうなるかは運次第です。
一人が18,000円を儲けて、もう一人が全額を失うかもしれませんし、9,000円ずつを分け合う結果になるかもしれません。
少し極端なたとえになりましたが、還元率というのはそんな仕組みで成り立っているのです。
つまりオンラインカジノは、プレイヤーが損得を共有する仕組みをとっています。
あなたが得をしているとき、その裏で誰かが損をしているのです。
これは公営ギャンブルなども同じで、競馬の還元率は約70%、パチンコの還元率は約70~90%の間で設定されています。
それではFXや株式投資はどうでしょうか。
オンラインカジノとは違い、FXや株式投資の場合は、損得を共有するという仕組みにはならず、参加した全員が等しく利益を与えられる可能性があります。
これがオンラインカジノとの決定的な違いといっても過言ではありません。
同じタイミングでA社の株を購入した人たちが、まったく同じタイミングで売却すれば、理論上は全員が等しい利益(または損失)を計上することになります。
FXも同様で、同じタイミングで売買することによって、誰一人として損をせずに勝つことが可能な投資法になっています。
損益が出るまでの速度はオンラインカジノが早く、FXと株は遅い
損益の結果出るまでのスピードは、オンラインカジノが早く、FXと株は遅いといえます。
たとえばオンラインカジノの場合、ルーレットの赤黒賭けに100ドルをベットしたとします。
それから数十秒後には当たって200ドルになるか、外れてゼロになるか、結果がでてしまうものです。
株やFXの場合はそうはいきません。株の性質上、上がったり下がったりを繰り返しながらチャートを形成されます。
どれだけの好材料が出たとしても、ある程度まで上がれば利益確定売りが発生しますし、政治的な問題など予期せぬ出来事から大きな下げ相場を迎えることもあるのです。
結果として将来的に投資額の2倍に株価が膨れ上がったとしても、そこに達するまでに数ヶ月かかることもあれば、数年かかることもあります。
配当を獲得するためにも半年~一年単位で待たなければならないため、オンラインカジノと比べるとスピード感はありません。
FXは株式投資と比較するとオンラインカジノに近いスピードで損益の結果が出る投資法ですが、こちらも利益確定までにはオンラインカジノ以上の時間がかかることが普通です。
なるべく早く結果を出したいという人にとっては、オンラインカジノのほうが魅力的に見えるかもしれません。
資金を動かせる日時にも大きな違いがある
資金を動かせる時間(取引時間)にも、オンラインカジノとFX、そして株式投資には大きな違いがあります。
オンラインカジノの場合は、原則として24時間いつでも取引を行うことが可能です。
しかしFXや株式投資の取引時間は明確に定められており、取引時間外の売買は基本的にできません。
まず株式投資の場合は、市場が開いている平日の9時~11時30分、12時30分~15時に売買が限定されます。
そのため、この時間帯に働いている会社員にとっては、株取引が難しいことが難点です。
その一方で、時間に線引きをしやすくなり、集中力を保って取引できることはメリットといえます。
FXは平日であれば24時間いつでも売買が可能です。
株式投資ができない会社員や昼間忙しい主婦の方が売買に参戦しやすく、その点は大きな魅力です。
ただし深夜や早朝など、取引が活発に行われている時間帯でなければ、利益を上げられないのが欠点でしょう。
一方オンラインカジノはどうかというと、土日祝日もプレイ可能ですし、深夜でも早朝でも好きな時間に遊べます。
パチンコ店なども営業時間が限られていることを考えれば、オンラインカジノはある意味では異質ともいえる存在であり、気が向いた時間に遊べるのはメリットになります。
エンターテイメント性にもそれぞれの特色がある
オンラインカジノが一番の売りにしているのはエンターテイメント性です。
スロットやバカラ、ブラックジャック、ルーレットなどはとくに有名ですが、カジノではゲームで遊びながらお金を増やすことを目指します。
リスクをとってお金を賭けるわけですから、増えた時の興奮は代えがたい、大変魅力的なコンテンツといえるでしょう。
株式投資は分析が主であり、あくまでも経済活動への参加であり、興奮を得ることを目的とはしていません。
その代わりに毎日必ず値動きしますので、どのように価格が変動していくのかを追えるという楽しみがあります。
チャートを読みながら予測が当たるかどうかに注目して、興奮を覚える人も多いかもしれませんが、それは副次的な産物であり、ゲーム性を重視して市場が設けられているわけではありません。
FXは株式投資と比べれば速報性があり、ゲームに似た感覚で資産を増やせる投資法です。
ただし、これも数字の変動を見て売買のタイミングを決めるというシステムであり、オンラインカジノのようなエンターテイメント色があるとはいえません。
プレイヤーがやるべきこともオンラインカジノとFX・株式投資とで違う
お金を増やすためにプレイヤーがやるべきことも、オンラインカジノと株、FXではまったく違います。
簡単に違いをいうと、最初から最後まで顛末を見守ることになるのがオンラインカジノで、放置していても勝手にお金が増える可能性があるのがFXと株式投資です。
オンラインカジノは、ゲームを楽しみながらお金を増やせるチャンスに期待する遊びです。
ゲームの種類も豊富ですし、ランドカジノと同じようにディーラーを相手に遊べることも魅力でしょう。
結果が出るまで見守る必要はありますが、ゲームに熱中している間に数時間がすぎるほど楽しめることも多いです。
FX・株式投資の長期投資を行う場合は、購入後に放置していれば勝手にお金が増える可能性があります。
買って売る、あるいは売って買うという2種類の動作以外にすべきことはありません。
なるべく取引に関与する時間を減らしたいという人は、こちらが向いています。
結論!オンラインカジノは「投資」ではなく「ギャンブル」
オンラインカジノと株式投資、FXの違いについて上記でまとめました。
これらの違いも鑑みながらまとめますと、オンラインカジノは「投資」ではなく「ギャンブル」であると結論付けられます。
なぜオンラインカジノを投資と呼べないのかについて、3つのポイントに絞って解説します。
オンラインカジノで使うお金は、負けた瞬間にゼロになる
オンラインカジノにはスロットからテーブルゲームまであらゆる種類のゲームがそろっていますが、そのすべてに共通しているのが、賭けたお金が負けた瞬間にゼロになることです。
オンラインカジノで稼ぐためには勝つしかなく、それ以外の結果になった場合は一銭たりとも払い戻しが行われません。
株式投資やFXの場合、現物取引をしていれば投資した資金がゼロになることは原則としてありません。
たとえ損をしたとしても、時価総額を回収できます。
これがオンラインカジノとの大きな違いであり、倒産などのよほど大きな出来事がない限りは、資金をすべて失うことはありません。
ただし、株式投資でも信用取引をした場合や、FXで大きなレバレッジをかけた場合には、失敗したときに借金を背負う可能性がある点には注意しなければなりません。
オンラインカジノには信用取引がありませんので、元本以上にお金を失うことがないという点はメリットともいえます。
利用しているだけでは利益を生み出すことができない
株式投資の場合は「配当」や「株主優待」といった制度があります。
これは株を保有しているだけで自動的に付与されるものですから、意味での不労所得にもなります。
株主優待だけで日々の出費を賄う「桐谷さん」も有名な存在ですね。
一方のオンラインカジノは、利用しているだけで利益を生み出せません。
サイトに登録していると、定期的にボーナスマネーやフリースピンを貰えることがありますが、これはあくまでもカジノでゲームを楽しむために付与されるものですから、即現金化は不可能です。
オンラインカジノの場合、反対に登録したまま放置していると維持費の請求をされることもあります。
維持費の規定はカジノサイトによって異なりますが、半年間一回も利用しなかった場合は残高から維持手数料が1,000円差し引かれる、といったこともありえるのです。
長期的に稼ぎ続けることは難しいが、やり続けなければならない
還元率の問題が、オンラインカジノを投資として用いる上でのネックになります。
オンラインカジノは、誰かが得をすると誰かが損をする仕組みで成り立っていますので、いつも勝者でいることが物理的に不可能なことが問題です。
株式投資やFXなら、世界情勢やトレンドを確認しながら大体の行く末を予測できますが、オンラインカジノは数秒先に何が起きるか分かりません。
ブラックジャックで20を出していても、ディーラーが21を出してくる可能性もありますし、バカラのバンカー勝ちが奇跡的に10回続くこともありえます。
もちろん確実に将来の予測ができないことは株もFXも同じですが、過去の傾向や現在の流れから結果を読むことが著しく難しいというのがオンラインカジノの特徴です。それゆえに、まったく知識のない素人でも大勝を目指せるというメリットにも行きつくのです。
還元率の存在によってゲームの回数を重ねるごとに損をする可能性も高まるオンラインカジノですが、それでもやり続けなければ利益を出ません。
投資という見方をすると、オンラインカジノには矛盾が多いといわざるを得ず、株やFXのように投資に向いているとは断言することはできないのです。