マフィア映画などで「マネーロンダリング」という言葉が使われることがありますが、これは一体どのような犯罪なのでしょうか。
マネーロンダリングは、遠い世界の犯罪というイメージがあるものの、実は回りまわって、我々にも実害を与えかねない問題です。
この記事では、マネーロンダリングとはどのようなものなのか、どうやって行うのか、何が問題になるのかといった点を詳しくご紹介します。
マネーロンダリングの舞台としてカジノが選ばれやすい理由についても交えながら、わかりやすくまとめました。
マネーロンダリングとは何か
マネーロンダリングは、日本語で「資金洗浄」を意味する言葉です。
まずはマネーロンダリングとは何か、3つの項目にわけて概要を解説しましょう。
マネーロンダリングは犯罪等によって入手した現金を資金洗浄すること
麻薬の取引や強盗、横領、振り込め詐欺などの犯罪で手に入れた現金を使うと、通し番号から出所がわかり、逮捕される可能性が上がります。
違法な方法で現金を手に入れた犯罪者は、このリスクを避けるために、犯罪で手に入れたお金を市場に流通しているお金に交換しようとします。
たとえば犯罪で得たお金で貴金属などを買い、それを別の業者に転売して現金化するという方法が典型的な例ですが、この一連の流れが、マネーロンダリング=資金洗浄です。
マネーロンダリングに成功すると、そのお金を世界中のどこで使ったとしても、それが元々は犯罪行為によって手に入れたお金だということがバレません。
焦点となるのは「いかにバレずにマネーロンダリングを行えるか」という点で、後に詳しく解説しますが、これがマネーロンダリングの舞台にカジノが使われることが多い理由です。
マネーロンダリングは国内外で犯罪行為
マネーロンダリングを防止するための「金融活動作業部会」という組織があり、世界各国に向けてマネーロンダリング対策を強化するように求めています。
日本でも平成28年に「犯罪収益移転防止法」が成立し、マネーロンダリングは正式な違法行為となっており、マネーロンダリングを行うと、国内外で犯罪行為として処罰されます。
銀行口座を作るときや、オンラインカジノに登録するときに「写真付きの身分証」を提示するよう求められることが増えましたが、これも犯罪収益防止法に則って行われる手続きです。
マネーロンダリングは日本でも起こるのか
マネーロンダリングは海外のマフィアやギャングが行うもので、日本ではほとんど行われていないというイメージをおもちかもしれません。
しかし、実は日本は「マネーロンダリング大国」という不名誉なレッテルを貼られるほど、活発にマネーロンダリングが行われている国です。
カジノ法が成立し、日本国内にカジノが誕生するまであとわずかという状況ですが、カジノ反対派は反対する理由として「マネーロンダリングが増える」ことを頻繁に挙げています。
マネーロンダリングはすでに日本でも起きていますし、カジノの誕生によって、今後さらに増える可能性も否定できません。
マネーロンダリングの手順
マネーロンダリングの手順は、大きくわけて3段階です。
どのようにしてマネーロンダリングが行われるのか、具体的な手順を見ていきましょう。
①プレイスメント
犯罪行為によって獲得した資金を、金融システムや商取引に取り込みます。
資金を分割していくつかの銀行に入金したり、海外送金したり、カジノに持ち込んでチップと引き換えたりなど、その方法は組織や個人によってさまざまです。
大がかりな組織の場合は、海外に現金を持ち込める限度額の1万ドルを数十人でわけて、銀行送金を使わずに、カジノなどへ持ち込むこともあります。
②レイヤリング
プレイスメントで取り込んだお金を使って買い物をしたり、わざと何度も別の銀行口座に送金を繰り返したりして、資金の出所を複雑化させる作業が、レイヤリングです。
海外のペーパーカンパニーへ送金して、便宜上は会社の資金として扱うことによって、お金の流れを複雑化させるケースもあります。
③インテグレーション資金の出所を複雑化させる作業
プレイスメントとレイヤリングによってマネーロンダリングを終えた後に、合法的な方法で資金を回収するという段階が、インテグレーションです。
前述したようなペーパーカンパニーを活用する場合は、会社名義で不動産や貴金属などを購入し、転売するなどの方法で現金化を完了させます。