日本でIR推進法・IR整備法(カジノ法案)が成立したことで、日本にもカジノを含む統合型リゾート(IR)を開発しようと動きはじめました。
世界有数のリゾート地であるシンガポールやマカオなどでもIR施設が開発されており、観光客の増加など、さまざまな経済効果をもたらしています。
日本にカジノができることで、どのような経済効果に期待できるのでしょうか?
この記事では、カジノ誘致によって日本にもたらされる経済効果について触れるとともに、ほかのメリットや海外カジノの経済効果の事例などをご紹介します!
目次
カジノ誘致で経済効果はあるのか?
カジノ法案が成立した背景には、カジノ誘致よって得られる経済効果に期待していることが挙げられます。
現在日本を訪れる外国人観光客の数は増加傾向にあり、今後開催される東京オリンピックや国際博覧会(万博)では、さらに多くの外国人観光客が日本を訪れることになるでしょう。
これらのビッグイベントにカジノ誘致が加われば、相乗効果で、大きな経済効果に期待されているのです。
2016年に大和総研が公表した調査結果によると、「横浜・北海道・大阪の3ヶ所にシンガポールのIRと同規模のIRを設置したと仮定すると、IR建設による経済効果は3ヶ所合計で約5兆500億円、IR運営による経済効果は、3ヶ所合計で年間約1兆9,800億円になる」と試算されています。(参考:「『統合型リゾート(IR)開設の経済波及効果
(2017 年版)』大和総研(https://www.dir.co.jp/report/consulting/reg-revitalization/20170515_011975.pdf)」)
この結果でも示されているように、IR開発に関わる建設業と、観光業を中心にIR運営に関わる産業で、非常に多額の経済効果が推測されているのです。
カジノ誘致のほかのメリットは?
カジノ誘致のメリットは、経済効果だけではなく、以下の2つのメリットにも期待できます。
雇用の創出と拡大
カジノを含むI R施設を開設することにより、新たな雇用の創出と拡大できるメリットが見込まれています。
IR開設に伴う雇用は、主に建設と運営において創出されるといわれています。
IRはさまざまな施設が集まった大型複合施設なので、建設と運営には大勢の人手が必要になるからです。
2018年に大阪府・大阪市IR推進局が発表したデータでは、大阪の夢洲エリアにIRを設置した際に得られる雇用創出効果は、建設で年間5.1万人、運営で年間8.3万人と試算されています。(参考:「大阪府・大阪市IR推進局『大阪IR実現に向けて』(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/34198/00000000/kouen1siryou.pdf)」)
このデータを元にすると、全国3ヶ所にIRを誘致した際に創出される雇用は、合計40万人にものぼると推定されます。
IR誘致は新たな働き口を生み出し、雇用の創出と拡大を促してくれると期待されているのです。
地域の活性化
IR誘致によって、その地域が活性化されることも見込まれています。
まず、IR誘致が正式に決定した地域では、交通インフラの整備が進められていきます。
交通アクセスをよくすることで外国人観光客が来やすくなり、地域を訪れる観光客数は増加するでしょう。
人が増えれば地域に活気が生まれ、周辺のお店の売り上げが増加するなどし、地域経済が活性化していきます。
売り上げが増えれば新規雇用の機会が増えたり、新しいビジネスチャンスを求めてさらに人が集まったりするでしょう。
このように、IR誘致をきっかけに人が集まることで、地域が活性化することに期待されています。
実際にIRを誘致するかどうかについての住民投票では、IR誘致に賛成する声の方が多い地方もあります。
就職や進学で県外へと人が流れやすい地方自治体では、IR誘致が人を呼び込む理由となることを望んでいるのです。
海外カジノの経済効果
日本にカジノを誘致することで得られる経済効果について、各団体や機関で推定が発表されていますが、実際に海外カジノでは、どれくらいの経済効果があったのでしょうか?
ここでは海外カジノを代表して、シンガポールと韓国のカジノの経済効果についてご紹介します。
シンガポール
カジノ誘致で成功した代表例は、シンガポールのIR開発でしょう。
2009年のシンガポールの観光客数は年間900万人代で、2000年代のシンガポールは、観光産業の低迷が問題視されていました。
観光業を盛り上げる打開策として、カジノを含むIR施設の開発に着手し、2010年に2つのIRをオープンさせました。
IRをオープンした年から観光客数は徐々に増加していき、2018年には外国人観光客の数は年間1,851万人と、2009年から倍増したという結果が出ています。
また、IR運営の収益において、カジノが占める割合は非常に高いのも特徴です。
シンガポールのIRの収益構造を見てみると、年間のIR収益額に対するカジノゲーミングによる収益は、70%以上となっています。
シンガポールでは、IRによる収益の7割以上がカジノでの収益なのです。
今では世界有数のリゾート地として認知されているシンガポールにおいて、カジノを含むIR誘致が観光業を盛り上げと経済を活性化させるきっかけとなったことは、紛れもない事実であるといえるでしょう。
韓国
韓国のカジノの歴史は古く、韓国で最初のカジノ「ゴールデンゲート」がオープンしたのは1968年のことです。
その後、韓国内にはどんどんカジノが増設されていき、現在ではカジノがあるのは17ヶ所といわれています。
韓国のカジノのほとんどが外国人観光客向けとなっており、多くの観光客が足を運びました。
さらに2010年には自国民が利用できる「カンウォンランド」がオープンし、韓国のカジノ市場はより一層の盛り上がりを見せていきます。
今ではカンウォンランドは国内最大級のカジノ施設として人気が高く、たくさんの人が利用することでインフラの整備が進み、新しい商業施設の開発などの経済効果をもたらしましました。
最近では国内に点在するカジノ同士での競争を促し、ソウルなどの都市部から離れた地方のカジノを盛り上げようとする取り組みも行われています。
カジノ市場が盛り上がって収益が増えれば、徴収できる税収が増えて、韓国経済全体が活性化することが期待されています。
まとめ
今回は、日本にカジノを誘致した際に得られる経済効果についてご紹介しました。
日本で3ヶ所にIRを誘致することで、建設分野で5兆500億円、運営で年間1兆9,800億円の経済効果があると示されたデータもあり、雇用の創出や地域の活性化も含めると、さらに大きな金額の経済効果に期待できるでしょう。
シンガポールをはじめとする海外のカジノでも、大きな経済効果がもたらされた実例があり、IR開発が国の経済を盛り上げています。
近年、日本経済の低迷が叫ばれているので、カジノの誘致が日本経済の回復のきっかけとなることに期待しましょう!